2011年11月18日

速算術-3[2ケタ以上のかけ算を楽に解く方法]

と言う訳で、久々に速算術です。
今回はインド式速算術より、2ケタ以上のかけ算を楽に解く方法です。
条件は限られるのですが、この方法を使えば、場合によっては楽に、且つ速く解く事が可能になります。

例えばこんな場合。
例題)194×211

コレを「筆算でやれ」と言われたら、正直イヤです。
こういう式をより楽に、速く解く方法です。

(1).2つの数字に最も近い「キリのいい数」を探し、これを「基準の数」とします。
→今回の場合、基準の数は「200」です。

(2).筆算のかけ算を書き、右端に「基準の数に対する過不足」をメモします。
→基準の数は200なので、194だと「-6」211だと「+11」となります。
  つまり、下記のようになります。
  194 | -6
×211 | +11
--------------------------

(3).片方の数字と、もう一方の「基準に対する過不足」の数字を差し引きし、それを基準の数と掛けます。
→今回の場合、「194+11」、または「211-6」をします。どちらも「205」になります。
  これを、基準の数「200」と掛け、205×200=41000

(4).「基準に対する過不足」の数字同士を掛けて、(3)にそれを加えると答えが出ます。
→-6と+11を掛けて、(-6)×(+11)=-66となり、これを41000に加えます。
  41000+(-66)=41000-66=40934
  答えは40934です。

こう手順を書くと煩わしいように見えますが、計算を簡単にしてから解くという手順を使っているので、比較的楽になり、計算ミスが少なくなります。

使える条件として、内容からお分かりの通り、
2つの数が、同じキリのいい数に近いことが前提となりますが、
慣れると、非常に楽に扱う事が出来ます。
是非お試しあれ。  続きを読む
タグ :速算術

Posted by su96 at 00:36Comments(0)数学

2011年11月17日

ここは試験には「出ます」。ゴロ暗記編その1。

「ここは試験には出ません。」というブログですが、試験に出そうなゴロ暗記をココで。
基本は中学範囲です。高校範囲も多少出てきます。
結構有名なものも含まれます。
ちなみに中には下ネタも含まれますので、免疫のある方はそちらもご参考に。

【化学】
・BTB溶液の色の変化:キミドアホ(君、どアホ)
酸性⇔中性⇔アルカリ性
黄色⇔緑色⇔青色
キ    ⇔ミド  ⇔アホ(アオ)

・ボイル=シャルルの法則:パブで狙った
PV=nRT
P(パ)V(ブ)=n(ね)R(らっ)T(た)

・Ca以降の周期表の覚え方(第三周期:非常に不謹慎でヒく程の下ネタに注意、見たい人は以下を指定して下さい

少しチビッタ黒マン鉄子にドッキンズッキン、(Gaは覚えて)ゲルマン斡旋ブローカー
Sc(少し)Ti(チ)V(ビッタ)Cr(黒)Mn(マン)Fe(鉄)Co(子)Ni(に)Cu(ドッキン)Zn(ズッキン)
Ge(ゲルマン)As(斡旋)Br(ブロー)Kr(カー)



【物理】
・オームの法則の公式:感電する時、どんな表現?「ビリ!」
V=RI→ビリ

・電力の公式:ワクワクAV
電力[W]=電流[A]×電圧[V]
電力[W](ワクワク)=電流[A](A)×電圧[V](V)

・電磁誘導→ツンデレの法則
磁石がコイルに近づく→コイルの磁石側は近づいた極と同じ極→磁石とコイルは互いに反発する極になる。
「何近づいてきてるのよ!あっち行きなさいよ!」
磁石がコイルから離れる→コイルの磁石側は近づいた極と反対の極→磁石とコイルは互いにくっつく極になる。
「何離れてんのよ!こっち来なさいよ!」

・仕事の公式:ジュースは生でor生ジュース
仕事[J]=力[N]×距離[m]
仕事[J](ジュースは)=力[N](な)×距離[m](ま)で


【地学】
・岩石の覚え方:火山岩:流産安産元気な子深成岩:囲んで先公半殺し
火山岩:流紋岩(産)安山岩(産)玄武岩(気な子)
深成岩:花崗岩(んで)閃緑岩(公)ハンレイ岩(殺し)
※無色鉱物の含有率:左>中>右

・地震波の性質
P波(初期微動):Primary(初期の)のP。「P」は最初に縦線を書くから縦波
S波(主要動):Secondary(2番目の)のS。「S」は横に揺れるように書くから横波

【生物】
・植物の維管束の配列と性質:ウチも水道管にしよう
ウチも水道管に(内側は道管で水分が流れる)しよう(管は分)

・デンプン糖化の消化酵素:でだ、阿藤。
で(ンプン)だ(液)、阿藤(ミラーゼ、ブドウ

・タンパク質→アミノ酸の消化酵素:丹波君(ジュース好き)、胃液はペプシ、アミノバリュー
丹波君(タンパク質)胃液(胃液)ペプシ(ペプシン)アミノバリュー(アミノ酸)

・ヤモリはは虫類、イモリは両生類
ヤモリの「ヤ」とは虫類の「は」はどっちも「8」という数字で連想
余った方がイモリ=両生類

おあとが宜しいようで。
思い出したらココに追加するか、若しくはその2を作ります。  
タグ :試験

Posted by su96 at 03:14Comments(0)科学総合

2011年11月15日

電気を生み出す。〜そう遠くはない家庭発電!?

と言う訳で、今回は電気です。
最近エネルギー問題が色々叫ばれています。
原子力、火力、風力、水力、太陽光・・・たくさん電気エネルギーを生み出す方法があります。
エネルギーには、「エネルギー保存の法則」というものがあります。中学で習ったかと思います。
「エネルギーは変化するが消失しない」というものです。
原子力発電は核エネルギーを、火力発電は化学エネルギーを、風力発電は力学的エネルギーを、
それぞれ電気エネルギーに変換するのですが、その際に変換効率が重要になります。
どれだけ電気エネルギーに変化できるか、と言うところです。一部は熱エネルギーとして、熱になってしまうものもあり、100%変換は事実上不可能です。
その中で、「どれだけ効率良く電気エネルギーに変換出来るか」は、昔からずっと研究開発が進められています。

一方で、手軽に電気エネルギーを発生出来るもの。何があるでしょうか。
例えば静電気。2つの物質が擦れ合う時に発生する電気エネルギーです。
太陽光パネル。光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。
自転車のライトもそう。力学的エネルギーを電気エネルギーに変換しています。
今、このように、身近にあるものから発電をしよう、という開発が色々進められています。
この事を、「エネルギーハーベスティング」と言うそうです。
先日、岡谷市にある長野県工業技術総合センターさんの研究成果発表会に参加し、このお話を聞いてきました。

エネルギーハーベスティングとは・・・
生活しているこの空間において満ちあふれている様々なエネルギーを摘み取って(Harvesting)電気エネルギーに変換してしまおう
というものです。
例えば、出かける時に持ち歩くバッグ。腕の動きによって揺れます。橋。車が走る時に振動します。
このような運動から発電をしよう、と言うものです。使い道はポータブルな電気、そう、「乾電池のような携帯型バッテリー」としての位置づけです。
電気量を価格に換算すると、乾電池はコンセント電源の数千倍なので、発電効率は悪くてもニーズは間違いなくあると思います。

そのような運動から発電する方法って何がある?というと、基本は中学で習っていると思います。
「電磁誘導」という方法です。発電の一番のベースとなるものです
モーターを回す事によってこの現象が発生し、発電するのです。

電磁誘導による発電は比較的手軽に出来ます。
2011年8月上旬、長野市にある珈琲倶楽部寛さんにて、「夏休み親子で楽しむ科学工作2011」を開催させて頂いたのですが、
その際の出展物の一つとして、この電磁誘導を使った工作を展示致しました。

方法は簡単。(クリックすると画像が大きくなります。)

筒の中に強力な磁石を閉じ込めて、1500回程エナメル線を巻き付けて、振るだけでOKです。
LEDに取り付けるとLEDが光ります。これを工業的にもっと大規模でやれば、それなりの電気を得られるのです。
これを利用して日常あふれているエネルギーを応用するのが「エネルギーハーベスティング」の基本です。

また、穀物の価格高騰により悪いイメージの付いてしまった「バイオエネルギー」。
エネルギー生成用穀物を育てるのでなく、家庭や飲食店の生ゴミやし尿をメタン発酵して、
それをボイラーなどで燃焼して火力発電を行うこともできるかと思います。
普通に処理したり、微生物に分解させても二酸化炭素は発生するので、発生する二酸化炭素の量は変わりません
これを「カーボンニュートラル」と言います。

今、エネルギー問題が飛び交う中、この様なエネルギーの多様性も今後重要になってくるのではないかな、と考えています。  
タグ :エネルギー

Posted by su96 at 19:46Comments(0)物理

2011年11月15日

色の科学。〜植物に当て続けても育たない光の色は何色?


先日、福島県の磐梯山にある「五色沼」というところに行ってきました。
とてもキレイなのです。沼の水の色がエメラルドグリーンで、神秘的でして。
温泉好きな方には、「硫黄分の濃い温泉の色」と言えば伝わるでしょうか。
北信濃が地元の方には「信州高山の五色温泉や七味温泉の色」と言えば伝わるでしょうか。
正に、あの色です。

19世紀末、磐梯山が噴火した時に、飛散した岩が湖を塞き止めて沼ができ、
火山の成分が溶け込んだ事によって、この様な沼がたくさんできた、と言われております。
更に、光の差し込み方によっては、エメラルドグリーンだけでなく、赤茶、コバルトにも見える様です。

普段生活する上で、毎日必ず接している「色」。
色は、時に私たちの心に訴えかけ、時に癒し、時に印象を与えてくれます。また、時には注意を促してくれます。
そして、個性もまた、色によって表現されます。そんな色の科学について、今回は書きたいと思います。

当たり前の事ですが、私たちは色を視覚で感じます。光の無い場所や、目を閉じたときの暗闇の色は「黒」です。
要するに何を言いたいか、と言うと、「色は物質が発したり反射したりした光」なのです。
これを私たちは視覚で捉えているのです。
白い紙を蛍光灯の下で見たら白ですし、光の無い所で見たら黒ですし、赤い光の下で見たら赤く見えます。



一方、光は波の性質をもちます。
日焼けをする紫外線、身体を温める赤外線、あれの仲間です。
光は波の性質を持ち、波には「波長」というものがあります。
左の図の青い波を見て下さい。矢印で示した範囲が波長1個分です。
この波長の長さによって、私たちが視覚で捉える色が変わってくるのです。

私たちが視覚で捉える事のできる波長の範囲の光を「可視光」と呼ぶのですが、
この可視光の範囲は個人差はありますが、400nm(ナノメートル)〜800nm程度までです。
1nm=0.000000001mです。もちろん、肉眼で波の様子を見る事は不可能です。

400nmに近い程青色、800nmに近い程赤色で、その間は右の通り、虹のグラデーションの通りになります。
ちなみに、400nm以下の一定の範囲が紫外線、800nm以上の一定の範囲が赤外線、となります。
そして、波長が短い程、エネルギーを持ちます。
だから、紫外線は殺菌効果があったり、日焼けの原因になったりするのです。
更に言うと、紫外線よりも波長の短い範囲は放射線です。ご存知の通り、紫外線よりももっとエネルギーを持っています。

さて、じゃあ白色は?黒色は?と言いますと・・・
白色→様々な波長の可視光線を反射する  黒色→可視光全て反射しない(吸収する)
となります。
光の三原色、聞いた事あると思います。短波長の青・中間波長の緑・長波長の赤です。
3つの色が混じると白になる、って聞いた事あるかと思います。


ちょっとこの知識を使って、一つ豆知識を。
「植物に緑色の光だけを当て続けても育たない」

光合成は葉緑体で行われ、この活動によって植物の体内で養分となるデンプンや、エネルギー、酸素が作られることは、覚えてますでしょうか??
葉緑体は緑色です。光合成をする植物は緑色をしています。少なくともそう見えます。
緑色に見えると言う事は??
そう「緑色の光を反射している」
ということなのです。
緑色の光を反射している、ということは、光合成には使われていない、と言える訳です。
光合成に使われる光は赤色に近い光青色に近い光なのです。

そんな感じで、今回は色の科学の話をしてみました。  
Posted by su96 at 03:06Comments(2)物理

2011年11月09日

ぼくを探しに シェル・シルヴァスタイン

何かが足りない
それでぼくは楽しくない
足りないかけらを探しに行く
ころがりながらぼくは歌う
「ぼくはかけらを探してる、足りないかけらを探してる、
ラッタッタ さあ行くぞ、足りないかけらを……」

一部分欠けている「ぼく」が、足りないかけらを探しに旅に出る、という絵本です。
原作タイトルは「The Missing Piece」です。


自然を楽しんだり、歌を歌ったり、楽しみながら旅をします。
色々な、「ぼく」に合いそうなかけらに出会って、一緒に旅をするも、
合わなくてどこかに置いて行ってしまったり、時には壊してしまったり。

やがて、「ぼく」に合うかけらに出会います。
「ぼく」に欠けていた一部分は満たされます。
その時、「ぼく」は・・・。

と言うお話です。


人生の楽しさってなんだろう。
正に、私たちが生きる日常を物語っています。

子供も、大人も、楽しめる絵本です。
将来子供が出来た時、子供に読ませたい本No.1です。

特に、完璧主義者のアナタに。  続きを読む
Posted by su96 at 01:49Comments(0)

2011年11月06日

確率のトリック。

さて、以前mixiには記載した事のある内容なのですが、今回は確率のお話。

ある日、TVゲームを攻略サイトを見ながらやっていた時の事。
インターネットにおける攻略情報において、
「あるアイテムを取れる確率は10%である」
そうだ。
ここで、ふと思いついたのだが、
「この情報が『真』である事を前提として、各回数毎の確率を求めながらやってみよう」
と。

これを数学の問題的に言うと、こんな感じ。
「10個に1個、当たりが入っているくじがある。
 外れを引いたら元に戻し、当たりを引くまで引き続ける。
 x回引いた時、当たりを引く確率を求めよ。」

外れを引いたら元に戻すので、1回単独で考えた時の当たる確率は10%になる。

さぁ、ここで。
「10回引いたらほぼ確実に引けるんじゃない?」
と思った人、 アナタはギャンブルをしない方がいいです(笑)
実はそう上手くはいかないのが実際でして。

以前、本で読んだ事があるのですが、
「確率における錯覚をおこさせる」
これがギャンブルにおけるディーラーの意図だそうで。

ではやってみましょう。
●1回引いた時の当選確率。
 当然10%。なので、外れる確率は90%

●2回引いた時の当選確率。
 2回目単独では、外れくじを元に戻しているので10%。
 2回目は、1回目が外れたら引くので、
 結果として1回引いた時の外れ確率90%の1/10、すなわち9%が1回引いた時の当選確率に上乗せされる
 だから2回引いた時の当選確率は19%となる。
 ちなみに外れ確率は81%


●3回引いた時の当選確率。
 3回目単独では、外れくじを元に戻しているので10%。
 3回目は、2回目が外れたら引くので、
 結果として2回外れた時の外れ確率81%の1/10、すなわちが8.1%が2回引いた時の当選確率に上乗せされる
 だから3回引いた時の当選確率は27.1%となる。ちなみに外れ確率は72.9%
(但し、小数第二位を四捨五入しています)

●以下同様に、10回引いた時の当選確率まで求めてみると、
 4回引いた時 当34.4% 外65.6%
 5回引いた時 当41.0% 外59.0%
 6回引いた時 当46.9% 外53.1%
 7回引いた時 当52.2% 外47.8%
 8回引いた時 当57.0% 外43.0%
 9回引いた時 当61.3% 外38.7%
 10回引いた時 当65.2% 外34.8%
というふうになるのです。

「x回目の確率」と「x回引いた時」と使い分けているところが重要です。
なぜなら、くじは引いて外れたら戻すので、
「x回目の確率」つまり各事象単独における確率は常に10%で、収束はしないのです。

x回引いた時、x=∞ならば、当選確率は≒100%にはなりますが

当選確率99%になるのが、44回引いた時、
当選確率99.9%になるのが、66回引いた時、
当選確率99.99%になるのが、87回引いた時、

となります。

ちなみに私は12回目で一番最初に言ったアイテムを取ったので、
 12回引いた時 当71.8% 外28.2%
(11回引いた時 当68.7% 外31.3%)
となります。

これをパチンコで考えてみましょう。
パチンコの当選確率を1/350と仮定する。
パッと見、350回回せば当たりそうに見えるかも知れないですが、
経験者ならお分かりの通り、ハマるときは果てしなくハマります。
350回回して当たりを引く確率は、同様に計算すると67.27%です。
ちなみに1回回して当たりを引く確率は1/350×100=0.29%です。

50%を超えるのが243回、60%を超えるのが321回、70%を超えるのが421回
80%を超えるのが563回、90%を超えるのが805回、95%を超えるのが1048回
99%を超えるのが1610回、99.9%を超えるのが2415回

回した時になります。
(Excel使って計算しました。)

忘れてはいけないのは、
各回単独では1/350で、常に一定である
という事です。

そんな事を考えながら、1年半振り?のTVゲームをやっておりました、とさ。  
タグ :確率

Posted by su96 at 23:48Comments(0)数学

2011年11月02日

プラスチックの話-2:金属に替わるプラスチック

プラスチックの話、2回目です。
今回は「金属に替わるプラスチック」の話です。

10月25日〜29日まで幕張メッセで、3年に一度開かれる国内最大のプラスチックの展示会、
「IPF国際プラスチックフェア」に参加してきました。
あるんですよ、こういうのが。
車は「東京モーターショー」、ゲームは「東京ゲームショー」と同じように、
プラスチックにも「IPF国際プラスチックフェア」というものが。
その内容も交えながら、書きたいと思います。

「プラスチックと金属、どっちが強い?」と単純に聞くと、勿論、モノによるのですが、恐らくほぼ全員は、
「金属」
と答えると思います。

しかし、プラスチックってのは種類がたくさんありまして、
実はモノによっては非常に強度のあるものもありまして、
更に軽いというメリットから、近年、金属との代替材料として開発が進められています。

工業に精通している産業界の方はご存知かもしれませんが、例えば「CFRP」です。
CFRPとは、Carbon Fiber Reinforced Plastics、つまり、
炭素繊維強化プラスチックの略です。
炭素繊維を織って生地にし、その生地にプラスチックを染み込ませて固めたものなのですが、
これが、非常に強い。
金属並みの強度をもち、そして軽いために燃費の軽減ができる、という理由で、
飛行機のボディや翼、また、自動車の車体への用途開発が進められています。
全体重量の50%を用いる事で、車体重量は従来の20%にもなる、というのでこれがスゴイ。

写真は、CFRPを使って先日お披露目となった、ボーイング787です。
国産部品を35%使用されている事から、「準国産の航空機」とも言われています。
実際、炭素繊維の供給元は東レ、東邦テナックス(帝人系)、三菱レイヨンの3社でほぼ全世界のシェアを占めています。
日本のものづくり、スゴイ!!

自動車でCFRPと言ったら、レクサスも検討されているのですが、活発に開発を進めているのが、
車好きならご存知かもしれませんが、「童夢カーボンマジック」です。
実物を何度か拝見した事があるのですが、カナリ感動ものです。
車体だけでなく、ホイール、その他あらゆるパーツにCFRPが使われています。

CFRPの他、注目なのがPEEKというプラスチックです。
ポリエーテルエーテルケトンの略(Poly Ether Ether Ketone)でして、
前職でも扱ってきたのですが、叩くと金属の様な音がします。
非常に強度が強く、耐熱性も300度まで耐える、更に溶出しない、摩耗しない、というモノです。
こちら、先述のIPFで見てきたのですが、現在生体材料として開発が進められています
「どこ?」というと、人工骨、とくに関節部分です。
骨や関節は強度が必要になります。更に、関節部分は摩耗しない事が必要になります。
従来の金属だと、摩耗粉や溶出による抗体反応が問題点であり、現在開発が進められています。

と、金属に替わるプラスチック材料の一部の例を挙げましたが、勿論、プラスチックにも問題点はあります。

例えば、CFRPのリサイクルは現状困難である、という事。
金属は融かせば再利用出来ます。実際、自動車はほとんどがリサイクル可能です。
しかし、CFRPは炭素繊維と、前回お話しした熱硬化性樹脂によるものがほとんどで、
分別が難しい上に、リサイクル技術が確立されていない現状があります。

つまり、省エネの面ではいいのですが、廃棄物の面では非常に問題なのです。
また、価格が非常に高い、という事。どれだけかというと、従来の数十倍〜百倍になることも。
これが利用開発の一番のネックになっている部分であったりもします。
更に、製造において金属製の車体よりも生産が遅くなる、という面もあります。
現状、数秒でできてしまうプレスによる自動車の車体製造のスピードには、
とてもかなうものではありません。

金属からの代替が利用開発されているプラスチックですが、そんなデメリットもあるのです。

これからの産業、生み出された製品の処理方法の研究も盛んに行われていけばな、と思います。

というわけで、化学、というより工業の内容になりましたが、
金属に替わるプラスチックのお話でした。  

Posted by su96 at 15:44Comments(0)化学

2011年11月02日

プラスチックの話-1:熱に融けたり融けなかったり

さて、今回はプラスチックの話です。
私が前職において深く携わってきた分野です。

まず、「プラスチック」と聞いて、何を思い浮かぶでしょうか?
熱に融ける、リサイクル、埋め立て、ビニール袋、軽い、柔らかい・・・色々あるかと思います。
じゃあ、「『プラスチック』って何?」「『プラスチック』の定義は?」と言われると、
非常に難しい問題であります。

プラスチック。英語に直すと「plastic」。
日本語訳にすると、「可塑性の」すなわち「融ける性質を持つ」という意味になります。

しかし、プラスチックには熱に融けないものもあります。
恐らく一番有名なのはメラミン樹脂。灰皿やプラ食器として使われます。
あとは、接着剤。あとは、パテ。アレもプラスチックの仲間です。
コレらをまとめて「熱硬化性樹脂」と呼びます。
温度によって固化するプラスチックの事です。

対して、非常に馴染みの深い、例えばビニール袋、ポリ容器、その他諸々、
熱を加えると融けたり、変形したりするプラスチック
これらを「熱可塑性樹脂」と呼びます。

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂、違いは分子構造です。
プラスチック。「樹脂」とも「ポリマー」とも呼ばれますが、
化学的に言うと、「高分子」という仲間になります。
分子の単位が連鎖して繋がって、一本の長い分子になったものです、
と言うと非常に分かりづらいので、例えてみます。

ある金属の輪っかがあります。これを「分子の単位」とします。
金属の輪っかは、長く繋げて行く事により、一本の鎖になります。
これが、プラスチックです。

先に出てきた、「熱硬化性樹脂」と「熱可塑性樹脂」。分子構造が違うと書きました。
では、具体的にどう違うのでしょうか。

分子レベルで見ると、
熱可塑性樹脂は、鎖が絡み合って構成されているのに対し、
熱硬化性樹脂は、鎖かたびらのように、編み目状になって構成されています。

分子は、熱によってエネルギーが与えられ、自分で自由に動こうとします。
熱を与える事で、熱可塑性樹脂は、ただ絡み合っているだけなので、絡み合いを解いて自由に動けるようになります
これが、熱による変形であったり、熱で融けたり、という事につながります。

対して、熱硬化性樹脂は、鎖かたびらのように網目状になっているので、自由に動く事が出来ません。
だから、熱によって、融けたり変形したりしにくいのです。

また、熱硬化性樹脂は、2つの薬剤を混ぜて、作りたい型に流し込み、熱を加える事で作られます。
対して、熱可塑性樹脂は、熱によって融かして、型に流し込み、冷やす事によって作られます。
ですので、熱硬化性樹脂は「クッキー」、熱可塑性樹脂は「チョコレート」という比喩もされます。

それぞれ、様々な特徴があり、用途に応じて使い分けられています。
また、用途に応じて、同じ種類のプラスチックでも、製造工程によって性質を変える事が可能です
熱に融ける、融けないの他に、硬い、柔らかい、伸びる、薬品に強い、反復運動に耐える、など様々です。
中には、軽い事から金属の代わりに利用する、という事もあります。
特に、今では飛行機や自動車の外装において、開発が進んでいます。

次回のプラスチックの話では、そういったところに触れたいと思います。  

Posted by su96 at 03:06Comments(0)化学

2011年10月31日

時とセシウム

世界の標準時刻の基準となる時計はどこにあるかご存知でしょうか?
イギリスのロンドンにあるグリニッジ天文台・・・は昔の話です。

正解は「世界中にある」です。
現在、世界の標準時刻の基準となる時計は、世界中にある原子時計によって刻まれ、
これが世界標準時の基準となっているのです。
ちなみに、グリニッジ天文台の平均太陽時が基準となる世界標準時を「グリニッジ標準時」といい、GMTと表されます。
世界中の原子時計が基準となる世界標準時を「協定世界時」といい、UTCと表されます。

さて、この原子時計に使われているもの。
セシウムです。元素記号Csです。
「セシウム時計」と言われています。
原発事故の影響で、ひじょ〜〜に悪い印象がついているセシウムですが、
実はこのセシウム、私たちが生活する上で、とてつもなく役に立っているのです。はい。

セシウム原子には幾つかの種類があって、これを「同位体」と呼ぶのですが、
ここで使われているセシウムは「Cs133」と呼ばれるものです。
放射性物質ではありません。
今問題になっている放射性物質のセシウム原子は「Cs134」「Cs137」というものです。

セシウム原子はいくつか種類があるのですが、そのうちCs133が天然に存在する確率は100%です。
「あれ?」と思う方いらっしゃると思いますが、そうなんです。
「じゃあ、Cs134やCs137はナニモノ?」と思う方、いらっしゃると思いますが、
Cs133以外の放射性セシウムは全て、核分裂によって人工的に産まれたものです。
要するに、天然には存在しないものなのです、彼らは。
「死の灰」と呼ばれるものの一つでもあります。
だから、Cs133以外のセシウム原子が検出されたら、
「あ〜原発事故によって飛散したものだな」
と判断する事ができるのです。

さて、放射性物質ではないCs133を使っているセシウム時計の話です。
このセシウム時計、もの凄く精密なのです。
どれだけ精密かと言うと、
2000万年に1秒もくるわない
ほど精密なのです。
詳しくは割愛しますが(というか、こんな事分かりやすく詳しく書くとなるととんでもない文量になってしまうわ!)、
Cs133に9,192,631,770Hz(→1秒間に9,192,631,770回振動するってこと)のマイクロ波を照射すると、
Cs133はそのエネルギーを吸収して高エネルギー状態になります。
(化学的に言うと、「基底状態から励起状態になる」と言います。)
この事を利用するのです。
つまり、こんな感じ。

Cs133が高エネルギー状態になるようなマイクロ波を設定してやる。
→そのマイクロ波は、9,192,631,770回の振動が1秒で起こる波である。
→1秒が分かる。

そんな感じです。頭を使って考える必要があるかもしれません。
そして、9,192,631,770Hzなんて振動数、桁数が大き過ぎて、想像の域を超えています。

で、このセシウム時計ですが、電波時計や、携帯電話の時刻、更にはGPSにも応用されています。
なので、セシウム時計を見掛けたら、
「うわ!セシウムや!あっち行け!!」
なんて言わずに可愛がってやって下さい。  
タグ :化学

Posted by su96 at 02:49Comments(0)化学

2011年10月30日

有機化学美術館へようこそ 佐藤健太郎

そろそろ化学の話題という事で、化学系の私からマニアックな本を1冊。
「有機化学美術館へようこそ」という本です。
もう、「化学すら苦手なのに、有機化学、ひぇ〜」なんて方も多いかと思いますが。

化学、というと、元素記号を線で結んで・・・っていうアレがそうです。
モデルという形では、一般的に元素を球、結合を線で表します。
それを使って色々面白い形の、余り実用的ではない遊び心満載の化学者たちの話です。

例えば、プロペラの形をした「プロペラン」、輪になって阿波踊りを踊っている姿を模した「シクロアワオドリン」
更には、人の形をした「ナノプシャン(ナノキッド)」なんてモノもあります。
こんな感じで、帽子をかぶせて様々な職業を付けたりして、本当に遊び心満載です。
ちなみに、この「ナノプシャン」はイグノーベル賞を受賞しています。

他に、架空の物質である、十字の形をした「ヘルベタン」と六芒星の形をした「イスラエラン」はどっちの方が安定しているか、
という議論を、スイスとイスラエルの化学者の間で毎年エイプリルフールに繰り返される話があったり、
世界的風潮のせいでノーベル賞を取れなかった、人工がん実験に世界で初めて成功した日本人山極勝三郎博士の話があったり、
また、一番臭い化学物質は?とか、一番毒性の強い物質は?とか、最強の酸、最強の発がん性物質など掲載されていたり、
化学に興味がある方なら、楽しく読めるのではないかな、と思います。

科学は有効利用という視点を重視し、発展してきた経緯があります。
その有効利用は、人々の生活を便利にし、物質的豊かさや経済的豊かさを与えてきましたが、
その反面、環境破壊を引き起こし、また、生み出されたものの処分方法も未だ問題は山積みとなっています。
そんな事から、特に化学はある意味で「嫌われ者」として見られていますが、
このような遊び心にあふれた分野がまだまだ活発であるのは、非常にいい事だな、と思います。  
タグ :化学

Posted by su96 at 01:28Comments(0)

2011年10月29日

99.9%は仮説-思いこみで判断しないための考え方 竹内薫

先日、光よりも速いニュートリノの存在が名古屋大学で確認された、という事が報道されました。
これがもし証明されれば、「光よりも速いものは無い」という一般的常識が崩れると同時に、
アインシュタインの特殊相対性理論も崩壊する事になるようです。

1960年代、睡眠・沈痛薬のサリドマイドの服用によって奇形児が多く産まれた、という薬害事件が発生しました。
原因として、睡眠薬として作用する化学構造のものと、催奇形性を持つ鏡に映した全く正反対の化学構造のものとあり、
これが50:50で存在するため、とされていますが、催奇形性の事実のみで、科学的根拠は不明とされています。

今、飛行機は空を頻繁に飛んでいますが、航空力学は未だ解明されていない部分があるのが現状です。

物質の最小単位は、原子→素粒子→ひも状理論→超ひも状理論、と、どんどんその内容は移り変わっています。

科学は、ある仮定を元に何百万回、何千万回と検証を行い、実証され、再現性に裏付けられた学問・知見であり
今日の社会において一般的に常識や物事における根拠として用いられています。
そのため、ほぼ間違いなく「真」と言う事が出来る反面、その仮定を覆す事実が発見され、実証された場合、
昨日まで「真」であったものが、一気に「偽」に変わってしまう、という非常に脆い面もあります。
実際、科学は今も尚、新しい発見によって日々変化を続けています。

この本では、現代社会においておきやすい、「科学への過信」「科学を絶対とする考え方」、
特に「科学的根拠があるものを真、無いものを偽とする考え方」を見直し、
物事の捉え方について考えて行く、そんな内容が書かれています。

物事の捉え方の中心に科学的知見が多くの部分を占め、化学でご飯を食べている私も、
今までのものの見方について、非常に考えさせられる部分が多く、非常に面白い内容でありました。

内容について賛否両論あるとは思いますが、倫理性や多角的見知を養う上で、
理工学系の学生や、科学でご飯を食べているエンジニアには是非読んで欲しい一冊です。  続きを読む
Posted by su96 at 04:29Comments(0)

2011年10月26日

速算術-2[2ケタのかけ算を速く解く方法:その1]

という訳で、またもや数学ネタです。
数ヶ月数学、特に速算術にハマっていたので。
コチラもちなみにインド式算術です。

例えば、こんな例題。
例題.58×52を解きなさい。
通常、
     58
  ×52
--------
  116
290
--------
3016

と、まず1段目に58×2の答え116を書き、2段目に58×5の答え290を右1つ開けて書き、
最後に足し算をして求めます。
かけ算をやって足し算をやって、かけ算をやって、足し算をやって、と、
非常に煩わしいもので、2ケタ以上のかけ算は嫌われモノです。

そんな煩わしさを解消する方法がコレ。

     58
  ×52
--------
3016

筆算を書いただけじゃ分からないので、手順を説明します。
(1).まず1の位同士をかけます。→8×2=16
(2).片方の十の位の数に1を足してから、十の位同士をかけます。
→(5+1)×5=6×5=30
(3).(2)→(1)の順にそのまま並べて書きます。→3016
※ただし、(1)の答えが1ケタの場合は、10の位に0を書いてやります。
これで終了です。
楽でしょ。

ただし、この方法を使えるのは、以下の条件が全て当てはまる場合のみです。
(1).2つの数の1の位の数字の和が10であるとき。
(2).2つの数の10の位の数字が同じとき。

非常に用途は限られるのですが、応用は可能です。

例えば、87×84の場合。
87×84=87×(83+1)=87×83+87×1
と出来ます。87×83は、この方法を使えます。
計算してやると、
87×83=7221
87×1=87
7221+87=7308


つまり、この方法を応用してやれば、
10の位の同じ2つの2ケタのかけ算位はかなり楽に出来そうです。

そんな感じで是非やってみてください。  続きを読む
タグ :速算術

Posted by su96 at 23:17Comments(0)数学

2011年10月26日

(a+b)の二乗を最も単純明快に証明する方法

再び数学です。専門は化学なのに。
と、言う訳で前回に引き続き二乗に関する話。
今回は、
(a+b)2を最も単純明快に証明する方法
です。

この話、実は以前数学者で有名な秋山仁先生のNHK教育での解説を知人から聞いたものなのですが、
非常に印象的でしたので紹介します。

【準備するもの】
折り紙1枚、定規1本、ペン1本

折り紙に、1辺の長さがa+bになるような線を2本書きます。
・・・勘のいい方はもうお気づきですね(笑)

あとは面積を求めるだけです。
モチロン折り紙全体で見ると、面積は1辺×1辺なので、(a+b)2です。

線を書き込んで出来た4つの四角形の面積を求めて行きます。
左上の正方形の面積=a2
右上の四角形の面積=ab
左下の四角形の面積=ab
右下の正方形の面積=b2

4つの四角形の面積を全て足すと、
a2+ab+ab+b2
=a2+2ab+b2

となるので、結果として、
(a+b)2=a2+2ab+b2
と、なります。  続きを読む
タグ :図形

Posted by su96 at 01:40Comments(0)数学

2011年10月24日

速算術-1[2ケタの二乗を速く解く。]

という訳で、
「イキナリかい!」
って感じですが、役に立つかもしれないウンチクです。

内容はタイトルにある通り、
「2ケタの二乗の計算を速く解く」
そんな事です。

一時期、「インド式速算術」にハマっていたときがありまして。
その時、「コレはカナリ使える!!」と思ったものが幾つかあったのですが、
そのうちの一つが「2ケタの二乗の計算を速く解く方法」。

例えば、582、すなわち58×58を計算する時、通常は、
     58
  ×58
--------
  464
290
--------
3364
こんな感じで、1段目に58×8を書いて、2段目に58×50を書いて、解いて行く訳ですが、
いかんせん、足し算が多くて計算ミスの可能性はあるわ、それよりもめんどくさいわ、
そんな感じで、何ともいいイメージがありません。
2ケタ×2ケタ以上のかけ算は嫌われ者です。

そんな、「2ケタの二乗の計算」の煩わしさを解消する方法がコチラ。

582=2564+800=3364

何したの?って感じですが。
(1).52と82、すなわち25と64をそのまま横に並べる。→2564
※ただし、1の位の二乗が1ケタだったら、数字の前に「0」をつけてやります。
  4だったら「04」って言う風に。
(2).2×5×8をして、それを10倍する。→800
(3). (1)+(2)をする。→2564+800=3364

このやり方は、10〜99まで全ての2ケタで使えます。
慣れれば、暗算でも2ケタの二乗を計算出来るようになります。

是非、機会があったらおためしあれ。  続きを読む
タグ :速算術

Posted by su96 at 23:11Comments(1)数学

2011年10月24日

ブログ、はじめました。

と、いうわけで、コチラでは初めまして、ナガブロさん。
どこかで見た事あるかも知れない。
うん名前からsu96って名乗ってるワタクシです。

色々ブログを作っては消し、または作っては放置し、
気が向いたら再び再開し、なんて事やって今回はコチラにて。
とりあえず、こちらでは役に立ちそうな、若しくは立つかも知れない、
ウンチク話とかを中心に垂れ流してみようか、と言う事です。

どうぞ、おつきあい宜しくお願い致します。  
Posted by su96 at 22:11Comments(0)その他