2012年03月22日

古代ギリシャによる月の直径と地球〜月と太陽の距離の発見。

古代ギリシャによる月の直径と地球〜月と太陽の距離の発見。またまたサボっていまして、久々の更新です。「月刊」になってしまっている様な。まあいいか。
現在、サイモン・シンの「宇宙創成」を読んでいますが、これがとてつもなく面白いのです。
まだまだ読み始めで、上巻の150ページ程度。第1章が終わって、ようやく第2章に入ったところなのですが、引き込まれるように熱中して読んでいます。

第1章は、天動説と地動説の話。これが、古代ギリシャの時代から、地動説が一般的に正当化される頃まで、その頃の時代背景や思想と共に綴られています。

さて、今回の本題ですが、その中の話です。
月や太陽の直径、地球から月、太陽までの距離は古代ギリシャの頃には分かっていた
というものなのですが、これが興味深く、そして分かりやすい。シンプル。もの凄く感心してしまいました。

では、どのようにして分かったのか。今回はそれについてです。

●月の直径
古代ギリシャによる月の直径と地球〜月と太陽の距離の発見。月の直径と地球の直径の比は4:1です。これは月蝕から知る事ができます
忘れた方のために月蝕の原理を最初にお話ししますと、
太陽と地球と月が一直線上になる→月が地球の影に隠れる→月に太陽の光が当たらないため光らない
というところです。
では、どのように知る事ができるのか、左の図で説明します。
ご存知の通り、月は地球の周りを回っています。地球の影に入ると、月はどんどん欠けていきます。この欠け始めから完全にかけるまでの時間を測ります。50分です。
次に、完全に欠けてから、再び月が出てくるまでの時間を計ります。その時間は200分です。
月は地球の周りをほぼ一定の速度で回っているので、その時間の比は地球の直径と月の直径の比になります
50:200=1:4=月の直径:地球の直径
当時、地球の直径は、2地点での同刻の太陽の角度と観測した2地点の距離の関係から分かっていたので(詳細は割愛)、そこから月の直径を割り出す事ができます

●地球と月の距離
古代ギリシャによる月の直径と地球〜月と太陽の距離の発見。
腕を伸ばした時、指の爪で月がジャストフィットですっぽり隠れた
これが発見された事が始まりです。
ここで、左の図の様に描くと、爪と腕による三角形と、月の直径と距離の三角形は相似する事が分かります。
さて、腕の長さと爪の大きさの比はおよそ100:1です。
これまで分かると、地球から月までの距離が分かります。
そう、地球から月までの距離は、月の直径の100倍です。

●地球から太陽までの距離
古代ギリシャによる月の直径と地球〜月と太陽の距離の発見。地球の直径から月の直径、月の直径から月までの距離、芋づる式に出てきました。
コレが分かると今度は地球と太陽までの距離が芋づる式に分かってきます
ポイントは半月が南天している時です。
半月(上弦の月)の時、南天するのは日没時でして、月と太陽と地球で左の図の様に直角三角形ができます
月の距離は既に分かってます。あとは、三角形の辺の比なり、三角関数なりで計算すると、地球から太陽までの距離が分かってきます

何ともシンプルで分かりやすい!!
これを古代ギリシャ人が発見していた、というのですから驚きです。

こんな内容が、サイモン・シンの宇宙創成上巻の第1章、しかも最初の30ページに記されています。
もうこの時点で「間違いなく、この本は面白すぎる!」と思いながら、引き込まれるように読んでいます。

タグ :天体

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Posted by su96 at 02:57│Comments(0)科学総合
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