2011年10月29日

99.9%は仮説-思いこみで判断しないための考え方 竹内薫

99.9%は仮説-思いこみで判断しないための考え方 竹内薫先日、光よりも速いニュートリノの存在が名古屋大学で確認された、という事が報道されました。
これがもし証明されれば、「光よりも速いものは無い」という一般的常識が崩れると同時に、
アインシュタインの特殊相対性理論も崩壊する事になるようです。

1960年代、睡眠・沈痛薬のサリドマイドの服用によって奇形児が多く産まれた、という薬害事件が発生しました。
原因として、睡眠薬として作用する化学構造のものと、催奇形性を持つ鏡に映した全く正反対の化学構造のものとあり、
これが50:50で存在するため、とされていますが、催奇形性の事実のみで、科学的根拠は不明とされています。

今、飛行機は空を頻繁に飛んでいますが、航空力学は未だ解明されていない部分があるのが現状です。

物質の最小単位は、原子→素粒子→ひも状理論→超ひも状理論、と、どんどんその内容は移り変わっています。

科学は、ある仮定を元に何百万回、何千万回と検証を行い、実証され、再現性に裏付けられた学問・知見であり
今日の社会において一般的に常識や物事における根拠として用いられています。
そのため、ほぼ間違いなく「真」と言う事が出来る反面、その仮定を覆す事実が発見され、実証された場合、
昨日まで「真」であったものが、一気に「偽」に変わってしまう、という非常に脆い面もあります。
実際、科学は今も尚、新しい発見によって日々変化を続けています。

この本では、現代社会においておきやすい、「科学への過信」「科学を絶対とする考え方」、
特に「科学的根拠があるものを真、無いものを偽とする考え方」を見直し、
物事の捉え方について考えて行く、そんな内容が書かれています。

物事の捉え方の中心に科学的知見が多くの部分を占め、化学でご飯を食べている私も、
今までのものの見方について、非常に考えさせられる部分が多く、非常に面白い内容でありました。

内容について賛否両論あるとは思いますが、倫理性や多角的見知を養う上で、
理工学系の学生や、科学でご飯を食べているエンジニアには是非読んで欲しい一冊です。
尚、この著者ですが、科学に対して否定的な立場の方ではなく、科学における入門書や専門書も書いています。
→超ひも理論とはなにか-究極の理論が描く物質・重力・宇宙、「ファインマン物理学」を読む、ねこ耳少女の量子論 萌える最新物理学など。
東京大学、東京大学大学院、マギル大学大学院で高エネルギー物理学を専攻して博士号を持ち、
また、その前には東京大学で科学史、哲学史も専攻していたようです。
ただし、彼の出版物から、疑似科学批判者からは余り好かれてはいない様です。

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Posted by su96 at 04:29│Comments(0)
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