2011年10月31日

時とセシウム

世界の標準時刻の基準となる時計はどこにあるかご存知でしょうか?
イギリスのロンドンにあるグリニッジ天文台・・・は昔の話です。

正解は「世界中にある」です。
現在、世界の標準時刻の基準となる時計は、世界中にある原子時計によって刻まれ、
これが世界標準時の基準となっているのです。
ちなみに、グリニッジ天文台の平均太陽時が基準となる世界標準時を「グリニッジ標準時」といい、GMTと表されます。
世界中の原子時計が基準となる世界標準時を「協定世界時」といい、UTCと表されます。

さて、この原子時計に使われているもの。
セシウムです。元素記号Csです。
「セシウム時計」と言われています。
原発事故の影響で、ひじょ〜〜に悪い印象がついているセシウムですが、
実はこのセシウム、私たちが生活する上で、とてつもなく役に立っているのです。はい。

セシウム原子には幾つかの種類があって、これを「同位体」と呼ぶのですが、
ここで使われているセシウムは「Cs133」と呼ばれるものです。
放射性物質ではありません。
今問題になっている放射性物質のセシウム原子は「Cs134」「Cs137」というものです。

セシウム原子はいくつか種類があるのですが、そのうちCs133が天然に存在する確率は100%です。
「あれ?」と思う方いらっしゃると思いますが、そうなんです。
「じゃあ、Cs134やCs137はナニモノ?」と思う方、いらっしゃると思いますが、
Cs133以外の放射性セシウムは全て、核分裂によって人工的に産まれたものです。
要するに、天然には存在しないものなのです、彼らは。
「死の灰」と呼ばれるものの一つでもあります。
だから、Cs133以外のセシウム原子が検出されたら、
「あ〜原発事故によって飛散したものだな」
と判断する事ができるのです。

さて、放射性物質ではないCs133を使っているセシウム時計の話です。
このセシウム時計、もの凄く精密なのです。
どれだけ精密かと言うと、
2000万年に1秒もくるわない
ほど精密なのです。
詳しくは割愛しますが(というか、こんな事分かりやすく詳しく書くとなるととんでもない文量になってしまうわ!)、
Cs133に9,192,631,770Hz(→1秒間に9,192,631,770回振動するってこと)のマイクロ波を照射すると、
Cs133はそのエネルギーを吸収して高エネルギー状態になります。
(化学的に言うと、「基底状態から励起状態になる」と言います。)
この事を利用するのです。
つまり、こんな感じ。

Cs133が高エネルギー状態になるようなマイクロ波を設定してやる。
→そのマイクロ波は、9,192,631,770回の振動が1秒で起こる波である。
→1秒が分かる。

そんな感じです。頭を使って考える必要があるかもしれません。
そして、9,192,631,770Hzなんて振動数、桁数が大き過ぎて、想像の域を超えています。

で、このセシウム時計ですが、電波時計や、携帯電話の時刻、更にはGPSにも応用されています。
なので、セシウム時計を見掛けたら、
「うわ!セシウムや!あっち行け!!」
なんて言わずに可愛がってやって下さい。

タグ :化学

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Posted by su96 at 02:49│Comments(0)化学
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