2011年11月02日
プラスチックの話-2:金属に替わるプラスチック
プラスチックの話、2回目です。
今回は「金属に替わるプラスチック」の話です。
10月25日〜29日まで幕張メッセで、3年に一度開かれる国内最大のプラスチックの展示会、
「IPF国際プラスチックフェア」に参加してきました。
あるんですよ、こういうのが。
車は「東京モーターショー」、ゲームは「東京ゲームショー」と同じように、
プラスチックにも「IPF国際プラスチックフェア」というものが。
その内容も交えながら、書きたいと思います。
「プラスチックと金属、どっちが強い?」と単純に聞くと、勿論、モノによるのですが、恐らくほぼ全員は、
「金属」
と答えると思います。
しかし、プラスチックってのは種類がたくさんありまして、
実はモノによっては非常に強度のあるものもありまして、
更に軽いというメリットから、近年、金属との代替材料として開発が進められています。
工業に精通している産業界の方はご存知かもしれませんが、例えば「CFRP」です。
CFRPとは、Carbon Fiber Reinforced Plastics、つまり、
炭素繊維強化プラスチックの略です。
炭素繊維を織って生地にし、その生地にプラスチックを染み込ませて固めたものなのですが、
これが、非常に強い。
金属並みの強度をもち、そして軽いために燃費の軽減ができる、という理由で、
飛行機のボディや翼、また、自動車の車体への用途開発が進められています。
全体重量の50%を用いる事で、車体重量は従来の20%にもなる、というのでこれがスゴイ。
写真は、CFRPを使って先日お披露目となった、ボーイング787です。
国産部品を35%使用されている事から、「準国産の航空機」とも言われています。
実際、炭素繊維の供給元は東レ、東邦テナックス(帝人系)、三菱レイヨンの3社でほぼ全世界のシェアを占めています。
日本のものづくり、スゴイ!!
自動車でCFRPと言ったら、レクサスも検討されているのですが、活発に開発を進めているのが、
車好きならご存知かもしれませんが、「童夢カーボンマジック」です。
実物を何度か拝見した事があるのですが、カナリ感動ものです。
車体だけでなく、ホイール、その他あらゆるパーツにCFRPが使われています。
CFRPの他、注目なのがPEEKというプラスチックです。
ポリエーテルエーテルケトンの略(Poly Ether Ether Ketone)でして、
前職でも扱ってきたのですが、叩くと金属の様な音がします。
非常に強度が強く、耐熱性も300度まで耐える、更に溶出しない、摩耗しない、というモノです。
こちら、先述のIPFで見てきたのですが、現在生体材料として開発が進められています。
「どこ?」というと、人工骨、とくに関節部分です。
骨や関節は強度が必要になります。更に、関節部分は摩耗しない事が必要になります。
従来の金属だと、摩耗粉や溶出による抗体反応が問題点であり、現在開発が進められています。
と、金属に替わるプラスチック材料の一部の例を挙げましたが、勿論、プラスチックにも問題点はあります。
例えば、CFRPのリサイクルは現状困難である、という事。
金属は融かせば再利用出来ます。実際、自動車はほとんどがリサイクル可能です。
しかし、CFRPは炭素繊維と、前回お話しした熱硬化性樹脂によるものがほとんどで、
分別が難しい上に、リサイクル技術が確立されていない現状があります。
つまり、省エネの面ではいいのですが、廃棄物の面では非常に問題なのです。
また、価格が非常に高い、という事。どれだけかというと、従来の数十倍〜百倍になることも。
これが利用開発の一番のネックになっている部分であったりもします。
更に、製造において金属製の車体よりも生産が遅くなる、という面もあります。
現状、数秒でできてしまうプレスによる自動車の車体製造のスピードには、
とてもかなうものではありません。
金属からの代替が利用開発されているプラスチックですが、そんなデメリットもあるのです。
これからの産業、生み出された製品の処理方法の研究も盛んに行われていけばな、と思います。
というわけで、化学、というより工業の内容になりましたが、
金属に替わるプラスチックのお話でした。
今回は「金属に替わるプラスチック」の話です。
10月25日〜29日まで幕張メッセで、3年に一度開かれる国内最大のプラスチックの展示会、
「IPF国際プラスチックフェア」に参加してきました。
あるんですよ、こういうのが。
車は「東京モーターショー」、ゲームは「東京ゲームショー」と同じように、
プラスチックにも「IPF国際プラスチックフェア」というものが。
その内容も交えながら、書きたいと思います。
「プラスチックと金属、どっちが強い?」と単純に聞くと、勿論、モノによるのですが、恐らくほぼ全員は、
「金属」
と答えると思います。
しかし、プラスチックってのは種類がたくさんありまして、
実はモノによっては非常に強度のあるものもありまして、
更に軽いというメリットから、近年、金属との代替材料として開発が進められています。
工業に精通している産業界の方はご存知かもしれませんが、例えば「CFRP」です。
CFRPとは、Carbon Fiber Reinforced Plastics、つまり、
炭素繊維強化プラスチックの略です。
炭素繊維を織って生地にし、その生地にプラスチックを染み込ませて固めたものなのですが、
これが、非常に強い。
金属並みの強度をもち、そして軽いために燃費の軽減ができる、という理由で、
飛行機のボディや翼、また、自動車の車体への用途開発が進められています。
全体重量の50%を用いる事で、車体重量は従来の20%にもなる、というのでこれがスゴイ。
写真は、CFRPを使って先日お披露目となった、ボーイング787です。
国産部品を35%使用されている事から、「準国産の航空機」とも言われています。
実際、炭素繊維の供給元は東レ、東邦テナックス(帝人系)、三菱レイヨンの3社でほぼ全世界のシェアを占めています。
日本のものづくり、スゴイ!!
自動車でCFRPと言ったら、レクサスも検討されているのですが、活発に開発を進めているのが、
車好きならご存知かもしれませんが、「童夢カーボンマジック」です。
実物を何度か拝見した事があるのですが、カナリ感動ものです。
車体だけでなく、ホイール、その他あらゆるパーツにCFRPが使われています。
CFRPの他、注目なのがPEEKというプラスチックです。
ポリエーテルエーテルケトンの略(Poly Ether Ether Ketone)でして、
前職でも扱ってきたのですが、叩くと金属の様な音がします。
非常に強度が強く、耐熱性も300度まで耐える、更に溶出しない、摩耗しない、というモノです。
こちら、先述のIPFで見てきたのですが、現在生体材料として開発が進められています。
「どこ?」というと、人工骨、とくに関節部分です。
骨や関節は強度が必要になります。更に、関節部分は摩耗しない事が必要になります。
従来の金属だと、摩耗粉や溶出による抗体反応が問題点であり、現在開発が進められています。
と、金属に替わるプラスチック材料の一部の例を挙げましたが、勿論、プラスチックにも問題点はあります。
例えば、CFRPのリサイクルは現状困難である、という事。
金属は融かせば再利用出来ます。実際、自動車はほとんどがリサイクル可能です。
しかし、CFRPは炭素繊維と、前回お話しした熱硬化性樹脂によるものがほとんどで、
分別が難しい上に、リサイクル技術が確立されていない現状があります。
つまり、省エネの面ではいいのですが、廃棄物の面では非常に問題なのです。
また、価格が非常に高い、という事。どれだけかというと、従来の数十倍〜百倍になることも。
これが利用開発の一番のネックになっている部分であったりもします。
更に、製造において金属製の車体よりも生産が遅くなる、という面もあります。
現状、数秒でできてしまうプレスによる自動車の車体製造のスピードには、
とてもかなうものではありません。
金属からの代替が利用開発されているプラスチックですが、そんなデメリットもあるのです。
これからの産業、生み出された製品の処理方法の研究も盛んに行われていけばな、と思います。
というわけで、化学、というより工業の内容になりましたが、
金属に替わるプラスチックのお話でした。
Posted by su96 at 15:44│Comments(0)
│化学