人体常在菌のはなし-美人は菌でつくられる 青木皐

su96

2012年01月25日 01:25

食事中の方は食事後にお読み頂くこと推奨です。

今回は人間に住み着く「菌」の話です。
人間には100兆もの菌が生息し、共存しており、健康に生活して行くには、これらの菌を育てていく(=「育菌」)ことが重要である、というものです。

「菌」と言うと、「汚い」とか「病気」とかいうイメージがあり、また「抗菌」「除菌」「殺菌」というと清潔なイメージがありますが、
この「菌」が私たちが病気になったり、肌荒れになったり、というのを防いでくれるのです。

皮膚においては「表皮常在菌」として、表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌をはじめとして、みっちり存在しています。その数なんと1兆個。
菌類や細菌類は繁殖して自分たちのテリトリーを持つと、他の菌類を繁殖させない、という性質を持ちます。
このようにして、表皮常在菌が皮膚の上で、皮脂や角質を食べて、分泌物を出しながら繁殖してくれるお陰で、病気になるのを防いでくれるのです。
しかし、何らかが原因で体内バランスが崩れると、表皮常在菌は害を持つことがあります。
例えばストレスが溜まってできるニキビなんていい例です。ニキビは表皮常在菌の一つのアクネ菌と黄色ブドウ球菌が原因しています。
この様に、人間にとって時に有益になり、また時に有害になる性質をもつ菌のことを「日和見菌」と言います。

また、腸内にも多くの菌が繁殖しています。「腸内常在菌」と言います。
乳酸菌や大腸菌などが有名です。それが花畑の様に広がっていることから「腸内フローラ」と呼ばれています。その数なんと100兆個!!
この腸内常在菌によって消化だけでなく、アレルギーからも助けられています。
大人の人間の腸は大腸菌群が多くを占めています。一方、赤ちゃんの腸には乳酸菌が多くを占めています。
赤ちゃんが母乳→離乳食→一般食と食べるものが多様化していくにつれて、乳酸菌は減少し、大腸菌群が増えていきます。
「大腸菌群」と言うと、O-157に代表されるような、「汚い」「病気」のイメージがありますが、その多くは無害のものです。
さて、その大腸菌群ですが食中毒菌のひとつでもある「ウェルシュ菌」もその仲間で、人の腸内に住んでいます。臭いオナラやウンチの原因であり、「悪玉菌」として扱われています。
しかし、この菌が繁殖していることにより、外敵の進入をシャットアウトし、また、摂取したタンパク質を分解してくれる、という一面もあります。
善玉菌とか悪玉菌とか日和見菌とか、定義はあれどどれがどれに属するかは非常に曖昧です。
でもやはり、ウェルシュ菌は有益か有害か、と言われれば有害の部類に入ってきます。

さて、それでは、「育菌」をするにはどうすればいいのか??というところです。
皮膚については、
余り厚く化粧をしないこと/体を洗う時に擦りすぎないこと/暖房冷房の多用を避けて、衣類や飲食物で調整をすること
などが挙がります。菌は寒さ、乾燥を苦手としています。
また、あまり皮膚を擦り過ぎると、表皮常在菌の繁殖に必要な皮脂が失われてカサカサになるだけでなく、
絶えず老化→再生を繰り返す皮膚に傷が付き、そこから黄色ブドウ球菌が過多に繁殖することにもなります。

腸内については、
野菜や根菜などの食物繊維を積極的に摂取する/継続的に「食後に」ヨーグルトとオリゴ糖を同時摂取する/多彩な食品を取る⇒十色食

などが挙げられています。
ビフィズス菌などの乳酸菌は加齢と共に減少し、外部摂取で増加させることはできません。ウンチとして出てしまいます。だからこそ、継続して摂取することが必要なのです。
また、空腹時にヨーグルトを摂取しても、乳酸菌は胃酸にやられてしまうので、食後が最適です。
あと、必要なのがオリゴ糖です。オリゴ糖があって初めてビフィズス菌は活発に動きます。
食物繊維も重要で、腸内の有益菌を育てるのに一役かっています。
これらを心がけて食生活をして、黄色で水に浮く、繊維質を持ったふんわりとしたウンチが出れば正解です。
ウンチは水分を除いて食べ物の残りかすが1/3、他は腸内常在菌の死骸です。
肉や魚は全て吸収されてしまうので、繊維質と取れば取る程、食べ物の残りかすの占める割合が大きくなり、ウンチは臭くなくなります。
繊維質が無いと、ウンチは固くなり、そして臭くなるのです。

と、そんな感じで、人間が外面的にも内面的にも美人になるには、それぞれ個々が持っている人体常在菌を育てることが重要である、というところです。
そのためには何をすればいいか?
科学的なものとか、健康食品に頼らず、日本人が従来からしてきた生活をすればいいのです。
また、睡眠もたっぷり取ること運動をしっかり行うことも育菌に重要なものの一つです。

是非、この本を読んでトライしてみてはいかがでしょうか?
【加齢臭について】
加齢臭は人間の分泌物と菌が影響をしています。それによってできる、「ノネナール」という物質です。
人間の汗には2種類あり、「運動して流れる汗」と、「ストレスや緊張で流れる汗(冷や汗)」です。
分泌物としては、後者が影響してきます。
後者の汗は皮脂を多く含み、40代以降に多くなると、パルミトオレイン酸やバクセン酸が増えます。従来は皮膚に潤いを与えてくれる皮脂です。
加えて、皮脂中の過酸化脂肪質量が増加し、酸化分解が進みやすくなるそうです。
それによって、パルミトオレイン酸などの分解によって、加齢臭の原因となるノネナールが生成されるそうです。
難しいですね。対策方法を以下に書きます。

先ほど2種類の汗があると書きました。後者の汗は「アポクリン腺」によって分泌されるのですが、分泌される場所が決まってます。
腋、顔、乳首、ヘソ、生殖器です。ここを意識して、体を洗うようにすることがまず第一です。
あとは、男性はスーツを頻繁に洗いません。しかし、発生したノネナールは衣服に吸着されていきます。
さらに、用をたすとき、微細な尿の粒子がスラックスに付着します。これも、菌によって分解されて異臭の原因になります。
ですので、衣服は連日で着ないようにし、着たら風通しのいいところで干して臭いを除去すること。
連日で着ないようにすれば、衣服の傷みが減る、という相乗効果もあります。
あと、「チオタウリン」という抗酸化剤を使えばパルミトオレイン酸の酸化によるノネナールの発生を抑制できるので、チオタウリン入りの消臭化粧品を使うのも手です。

ちなみに、この加齢臭の原因となるノネナールですが、男女問わず歳を重ねると発生しやすくなることをお忘れなく。
関連記事