と、言う事で桜の季節がやってまいりました。
この季節になると、必ずテレビで報道されるのは桜前線、開花予想。
日本列島に線引きをして、4月何日まで詳しく発表されます。
では、
ナゼそんなことができるんでしょう?ってお話です。
桜と言えば「ソメイヨシノ」。桜並木や桜の名所に植えられている桜は殆どが「ソメイヨシノ」です。
桜前線や開花予想は、桜の殆どがこのソメイヨシノだからこそできるのです。
で、
このソメイヨシノですが、接ぎ木や挿し木によって殖やす事ができます。
「『接ぎ木』『挿し木』って何ぞや?」って方にですが、
接ぎ木は、植物の切り株を土台にして枝を付けると、しっかりとくっついて一体化してしまうってやつです。
挿し木は
枝を折って育てれば根が生えて、やがては立派な木になるってやつです。
枝を下端を水に漬けておくと、根が生えてきてる様子、見た事あるかと思います。正にアレです。
コレ、ポイントです。てか、これが最大のポイントなのです。
要するに、何を言いたいかと言うと。
ソメイヨシノは全て接ぎ木と挿し木によって株分けされています。
接ぎ木、挿し木によって株分けされてるってことは、ソメイヨシノは全て、全く同じ遺伝子、同じDNAを持っているって事です。
つまり、
様々な所に存在しているソメイヨシノは全て同一人物の分身、クローンであるって事なんです。
そう考えると、あの奇麗に咲き誇るソメイヨシノが、何だか気持ち悪く感じてしまいますが。
八重桜辺りに、「うわっ!お前ソメイヨシノか!気持ちワリ!」とか言われてるかも。
で、この全く同じ遺伝子を持つソメイヨシノですが、開花条件があります。
それは、積算温度と言うものなのですが、
5度以上気温の有効積算温度(平均気温×日数)が5~600度とされています。
同じ遺伝子なんだから、ここももちろん個体差無く一緒です。なので、ソメイヨシノは開花予想が可能なのです。
ソメイヨシノが同じ遺伝子であるから、桜前線を日本列島に描く事が可能であり、開花予想が可能であり、あの短命の桜の花が一気に咲き誇る事が可能であるのです。
非常に桜の花が大好きで、花見が大好きな日本人には都合の良い植物です。
ソメイヨシノは同じ遺伝子のクローンであるからこそ、上記の様な利点がある反面、大きな欠点も持っています。
それは、
もしソメイヨシノを一気に枯らせてしまう病気、害虫が蔓延した場合、ソメイヨシノは即効で絶滅してしまう、と言う事です。
先に書いた通り、ソメイヨシノは全て同じ遺伝子を持っています。なので、病気に対する耐性も全く同じです。
生物が病気に対する耐性を進化の過程で得ますが、桜はみんな同じ遺伝子、クローンなのでそれができません。
だから、一気に枯らせてしまう病気が発生した時は、蔓延すると絶滅します。
さらに、
ソメイヨシノは人間の手によって接ぎ木、挿し木で殖えて行きます。種子植物ですが、種子で殖える事ができません。
なので、人間が絶滅すると、ソメイヨシノも絶滅します。
よって、ソメイヨシノは人間と共に生きて行く植物なのです。
さて、長野のお花見シーズンはこれからです。
何か、ソメイヨシノについて色々語ってみましたが、花見は理屈じゃありません。
壮大に咲き誇るソメイヨシノの下で、酒を飲み、料理を食べ、存分に花見を楽しんでください。